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あらすじ

第一話

秋田の大学で蝶の生態を研究する藤木は、1993年の年明け、地元の女子高に通う嶋宮ミサキと知り合い、やがて二人のあいだに文通がはじまる。ミサキは、生まれ育った港町に古くから伝わる民謡「秋田船方節」の歌い手でもあり、民謡をケルト風のバラードのように歌いこなす天性の声を持っていた。藤木は蝶の生まれ変わりのような美しいミサキと付き合ううちに、しだいに彼女に惹かれていく。しかしミサキは高校卒業後に歌手を志して上京してから、行方をくらましてしまう。


第二話

2003年、フランスのミュージシャン、ミシェルが自らの楽曲のイメージ映像を撮影するため来日する。9・11テロで録音スタジオを失った彼が、類いまれな生態系と、稀少な動植物が生息する、秋田と青森にまたがる白神山地を空撮し、人類こそが絶滅危惧種だとするメッセージを伝えるために。また彼は、かつて日本のある歌の録音を聴いて以来、海と森のつながりをイメージさせる歌声で、自らの楽曲を歌いこなせるボーカリストとして、無名の歌手、嶋宮ミサキを探し続けていた。